【医師監修】真皮幹細胞とは?肌の老化の根本原因と自分の細胞で再生する方法を解説

年齢を重ねるにつれ、シワやたるみが気になり始めたとき、まずスキンケアの見直しを考える方は多いのではないでしょうか。

しかし、肌の衰えが細胞数の減少によるものであれば、表面からのケアだけで根本的な改善を目指すのは困難です。

本記事では、肌のハリや弾力を根本から支える『真皮幹細胞』の働きと、失われた細胞そのものを補充できる再生医療について解説します。

真皮幹細胞の役割と、加齢で減少する原因

真皮幹細胞の役割を理解するには、まず肌の構造と、真皮の中で何が起きているかを知っておくと分かりやすくなります。ここでは、真皮層の構造、真皮幹細胞が線維芽細胞を生み出す仕組み、そして加齢による減少の影響を順に見ていきます。

肌のハリと弾力を支える真皮層の構造

皮膚は大きく「表皮」と「真皮」の2層から構成されています。外側の表皮は顔面で約0.1mm(部位により異なる)と薄く、外部刺激から体を守るバリアとして機能します。肌のハリや弾力を実際に生み出しているのは、表皮の内側にある真皮です。

真皮は表皮より10〜40倍ほど厚く、主に次の3成分で構成されています。

成分役割
コラーゲン肌に強度とハリを与える線維。真皮乾燥重量の約75〜80%を占める
エラスチンコラーゲン線維を束ねて弾力を保つ成分
ヒアルロン酸水分を保持し、ふっくらとした肌感触を与える

3成分が豊富に存在するほど肌はハリと弾力を保ちます。逆に減少すると、肌の土台が崩れ、シワやたるみが表面に現れてきます。

参考:Mini review on collagens in normal skin and pathological skin condition(Frontiers in Medicine, 2024)

真皮幹細胞が線維芽細胞を生み出す仕組み

真皮の中に存在する「真皮幹細胞」は、主に血管の周辺に位置する特殊な細胞です。幹細胞には2つの重要な能力があります。

  • 自己複製能:自分と全く同じ細胞をコピーし続ける能力
  • 分化能(ぶんかのう):必要に応じて異なる機能を持つ細胞に変化する能力

真皮幹細胞はこの分化能を使い、「線維芽細胞(せんいがさいぼう)」と呼ばれる細胞を生み出します。

線維芽細胞の働きについて詳しくは「線維芽細胞とは?美肌を作る働きや加齢による影響などを解説」で解説しています。

線維芽細胞は、コラーゲン・エラスチン・ヒアルロン酸を産生する工場の役割を担っており、肌のハリや潤いの維持に欠かせません。

真皮幹細胞 → 線維芽細胞 → 美肌成分(コラーゲン等)という連鎖が正常に機能することで、肌の若さが保たれています。

参考:Fibroblasts: Origins, Definitions, and Functions in Health and Disease(Cell, 2021)

加齢で真皮幹細胞が減ると何が起きるのか

問題は、真皮幹細胞の数が加齢とともに確実に減少することです。研究によると、真皮の線維芽細胞数は加齢とともに漸減し、80歳以上では若年期(18〜29歳)と比べて約35%減少することが確認されています。

参考:Decreased Collagen Production in Chronologically Aged Skin(American Journal of Pathology, 2006)

減少を加速させる主な要因は次の通りです。

要因肌への影響
加齢幹細胞が定着する微小環境(幹細胞ニッチ)が縮小・変性し、幹細胞を維持しにくくなる
紫外線(光老化)DNA損傷により幹細胞の自己複製能が低下する
活性酸素細胞への酸化ストレスが幹細胞の機能を阻害する
老化細胞からの阻害物質インヒビンβAやグレムリン2などの物質が分泌され、周囲の幹細胞の増殖・分化を妨げる

参考:The aging skin microenvironment dictates stem cell behavior(PNAS, 2020)
参考:Increase in inhibin beta A/Activin-A expression and suppression of epidermal stem/progenitor cell proliferation with aging(Journal of Dermatological Science, 2022)
参考:Gremlin 2 suppresses differentiation of stem/progenitor cells in human skin(Regenerative Therapy, 2021)

幹細胞と線維芽細胞が減少すると、コラーゲン等の産生量が肌の自然な分解スピードに追いつかなくなります。肌の土台を維持できなくなった結果、シワの深まり、頬のたるみ、ほうれい線の固定といった老化現象として表れてきます。

幹細胞コスメと再生医療は何が違う?

幹細胞コスメと再生医療の違いを図解したインフォグラフィック:化粧品が肌表面の保湿に留まるのに対し、線維芽細胞療法が真皮層に細胞を補充する仕組みの対比図

「幹細胞」という言葉は化粧品にも使われていますが、医療と化粧品では肌へのアプローチが根本的に異なります。幹細胞コスメに含まれる成分の限界と、再生医療が細胞レベルで肌に働きかけられる理由を比較します。

幹細胞コスメに入っているのは「幹細胞」ではない

市場に流通している「幹細胞コスメ」に含まれているのは、幹細胞を培養する際に分泌される「培養上清液(ばいようじょうせいえき)」と呼ばれる成分です。上清液には成長因子やタンパク質が含まれており、肌表面の保湿に役立つことが期待できます。

参考:A Comprehensive Review of Stem Cell Conditioned Media Role for Anti-Aging on Skin(Stem Cells and Cloning: Advances and Applications, 2024)

ただし、化粧品のアプローチには2つの限界があります。

●限界①:成分が真皮層まで届かない

皮膚の表面には外部物質の侵入を防ぐバリア機能が備わっています。通常の塗布では、化粧品の成分は真皮層まで到達できないため、コラーゲンやエラスチンが産生される深部への作用は期待できません。

参考:The 500 Dalton rule for the skin penetration of chemical compounds and drugs(Experimental Dermatology, 2000)

●限界②:失われた細胞の数を増やせない

通常の塗布では、加齢によって減少した線維芽細胞そのものを増やすことはできません。幹細胞コスメは肌表面のコンディションを整えるケアとして有効ですが、細胞数の減少が引き起こす深いシワやたるみへの根本的なアプローチとは役割が異なります。

線維芽細胞を増やす方法について詳しくは「線維芽細胞を確実に「増やす」唯一の方法」で解説しています。

減った細胞を直接補充できる再生医療のアプローチ

加齢によって失われた線維芽細胞の数を直接増やせる方法が、医療機関で行われる「再生医療」です。

再生医療では、患者自身の体から採取した細胞を体外で大量に培養し、目的の部位へ直接注入します。化粧品が肌の表面から成分を届けようとするのに対し、再生医療は細胞そのものを補充することで、肌の内側から変化を起こすアプローチです。

日本では再生医療は『再生医療等の安全性の確保等に関する法律』に基づく厳格な規制のもとで行われており、認定再生医療等委員会の審査を経て再生医療等提供計画を厚生労働大臣に提出した医療機関のみが実施できます。

参考:再生医療等について|厚生労働省

慶友形成クリニックの線維芽細胞療法とは

当院『慶友形成クリニック』は、認定再生医療等委員会の審査を経て再生医療等提供計画を厚生労働大臣に提出した医療機関です(再生医療等提供計画番号:PB3180005)。

ここからは、当院の線維芽細胞療法の治療内容・安全性・費用・症例について順に説明します。

治療の流れ:細胞の採取から注入まで

当院の線維芽細胞療法は、次のステップで進みます。

ステップ内容
① カウンセリング・血液検査肌状態の確認と、再生医療に必要な血液検査
② 皮膚採取と血液採取紫外線の影響を受けにくく、比較的若い状態の細胞が得られる部位の耳の裏側からわずか数ミリの皮膚片を採取。培養に使用する自己血清の血液採取。
③ 細胞の培養専門施設で数千万個から数億個規模まで線維芽細胞を増殖。初回は約2ヶ月、2回目以降は約1ヶ月
④ 注入培養した線維芽細胞を、シワやたるみが気になる部位の真皮層へ注入

治療が適応できる主な部位は以下の通りです。

  • おでこ
  • 目元(目の下のクマ・くぼみを含む)
  • 頬全体・ほうれい線
  • 口元・マリオネットライン
  • 手の甲

自分の細胞だけを使うから拒絶反応のリスクが低い

本治療の大きな特徴のひとつが、患者自身の皮膚と血清のみを用いる点です。ヒアルロン酸注入やボトックスなど人工物を使う施術とは異なり、異物に対するアレルギーや拒絶反応のリスクは非常に低くなります。

患者様のご希望により誕生したプレミアムプラン

当院では、スタンダードプランに加え、スタンダードの約1.5倍の細胞数を注入する「プレミアムプラン」を用意しています。

比較項目スタンダードプランプレミアムプラン
培養・注入量約数千万個から数億個スタンダードの約1.5倍
ダウンタイム当日から数日で引きますが、内出血が現れた場合は個人差がありますが、1,2週間程度で消えます左記同様
初回培養費(1部位)660,000円(税込)880,000円(税込)
追加部位費(1部位)165,000円(税込)220,000円(税込)

※別途費用:血液検査料22,000円(初回のみ)、注入料44,000円(各回)、初診料3,300円、吸入麻酔16,500円(希望時)

●プレミアムプランが特に向いている方

  • 遠方のため頻繁な通院が難しい方
  • 一度にたくさんの量を注入したい方
  • より高い効果の実感を求める方

症例紹介と効果の持続期間

以下は実際の治療症例です。費用は注入料・検査料等を含んだ参考値です。

属性・部位悩みの内容治療と変化費用目安(税込)
20代女性・目元皮膚が薄く皮下の血管が透けて見える目の下のクマ目元へ注入。皮膚に厚みが生まれ、透けていた皮下組織が目立ちにくくなった約745,800円
50代女性・目元・頬・口元顔全体のハリ低下とたるみ複数部位へ広範囲に注入。内側からのハリとツヤが改善した約1,072,500円
60代女性・口元・頬表面的な治療では改善しなかった深い口元のシワ口元へ3回、口元+頬へ1回の計4回注入。シワが浅くなり肌質が改善した口元のみ1回660,000円〜

注入後に効果が実感できるまでの期間は個人差がありますが、多くの場合3〜6ヶ月かけて緩やかな変化として現れます。

経過観察では少なくとも1年以上にわたって効果が持続することが複数の臨床試験で報告されており、皮膚超音波断層検査により真皮層の組織密度が向上していることも客観的に確認されています。

参考:Long-term evaluation of autologous cultured fibroblast injection for nasolabial fold treatment(Dermatologic Surgery, 2007)
参考:Clinical, biometric and ultrasound assessment of the effects of autologous fibroblasts on nasolabial fold(Journal of Cosmetic Dermatology, 2021)

線維芽細胞療法に関するよくある疑問

治療に関心を持った方から多く寄せられる疑問について、それぞれ確認しておきましょう。ダウンタイムの目安や注入時の痛みへの対応など、カウンセリング前に知っておきたいポイントをまとめました。

ダウンタイムはどのくらい?

注入後は赤みや腫れが数日間生じることがあります。また、1〜2週間程度、注入部位に軽い内出血が現れる場合があります。内出血の程度はコンシーラーなどのメイクでカバーできるものが大半です。

症状の程度や期間には個人差があるため、詳細は事前のカウンセリングで担当医に確認することをお勧めします。

注入時の痛みが不安な場合はどうすればいい?

痛みへの不安がある方のために、次の対応が用意されています。

  • 麻酔クリームの塗布
  • 極細の針の使用
  • 笑気麻酔(吸入麻酔・16,500円)のオプション選択(希望者のみ)

まとめ:真皮幹細胞の減少と、細胞を補充する再生医療という選択肢

真皮幹細胞は、コラーゲンやエラスチンを産生する線維芽細胞を生み出す起点となる細胞です。加齢とともに確実に減少し、肌のハリ低下やシワ・たるみの深刻化に直結しています。

高価なスキンケアや表面的な施術で思うような改善が得られなかった方にとって、失われた細胞を直接補充する再生医療は、肌の内側から変化を促す選択肢のひとつです。

当院では専門医によるカウンセリングを通じて、個々の肌状態に合わせた治療プランを提案しています。詳細や治療への疑問は、公式サイトのカウンセリング予約からお気軽にご相談ください。

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